幸福はささやかに・・・

映画鑑賞

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小冊子に使った写真から。槿と空。

今日は、一日雨で涼しい日。たまにはいいですね。

 

 

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nobi-movie.com

 

昨日の終戦記念日に、皆で『野火』を観に行きました。

もう既に鑑賞されている方も多いでしょう。

 

大岡昇平さん自身の体験に基づくといわれる小説は、戦争関係でももっとも優れたものと和尚様は仰います。

私は恥ずかしながらまだ読んでいなくて。

 

映画は、リアルな撮り方で音響も激しく、自分はちょっと音には敏感すぎるほうなので、半分耳をふさいでいました。

これまでさんざん、戦争映画を見続けてきたので、市川崑監督の『野火』をリメイクしたんだな、と思って観ていました。

でも、現代の監督がここまで描けるのは素晴らしい。さすが、何十年も心にためてきただけあります。

 

一つ残念だったのは、リリーフランキーさん演ずる役の兵士、声が疲れてなくて普通っぽくて現代風なこと、「全然、大丈夫」というセリフがあったこと。

ちょっと前の日本人は「全然、大丈夫」なんて間違ったことは言いません。ここは脚本家の気の緩みでしょうか。

 

以前観た映画はどれも、出てくる登場人物がリアルに痩せていた、とブログで書きました。それがモノクロということもあり、ほんとうに身に迫るのです。

カラーは、監督が描きたかったニューギニアの美しい自然(小説の中の表現でもある)─花や緑、海。そして夕焼けの赤など─を表現するのに必要だったのでしょう。

グロい血の表現、縦走射撃や戦車による激しい銃撃を浴び、日本兵が頭や腹を撃たれ、落ちた腕などの肉がもげたり焼けたりする表現は、すさまじかったです。それらもカラーにしたかったんだな、と。

 

(私は、どうもモノクロ表現のほうがいいな)

 

好きなシーンは、現地の若い男女が笑いながら船に乗り、教会の床下にある塩を取りに来るところ。

こんなに犠牲者が(現地人も)たくさんいても、やはり生きていくなかでは笑ったり楽しいという感情があるんだな、と一瞬ほっとします。そこまではいい。

でも、そこに潜んでいた主人公が、おそるおそる2人に「マッチが欲しい。」と求めると、(銃を持っている)彼に対し、若い女性は恐怖のため大声を出してしまい、撃つ気のなかった兵士もとうとう殺してしまいます。

 

前のモノクロの映画でも印象に残ったのですが、銃を持っていれば、その気がなくても撃ってしまうのだろうか、とやはり考えさせられました。主人公はそのあと、銃を谷底に捨ててしまいます。

 

まあ、観たことのない方はどちらでも(モノクロもいいですよ)、一度は鑑賞されたらいいと思います。

 

戦争の体験者がどんどん亡くなってしまい、本当の話を聞くことができなくなってしまうという危惧からか、最近は、以前よりもっと戦争について書かれたり、取材したものが出されたりしているように感じます。

 

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市川崑監督『野火』主演:船越英二

 

 

これらも戦争のごく一部。描かれなかった色々な場所での戦争、シベリア抑留、そして戦闘以外で亡くなった人の実に多いことを忘れないようにしたい。

どんな死であろうと帰ってこない兵士、巻き込まれた民衆すべてが戦死であろうと感じます。

 

最後に、私が編集している冊子の「名詩」の欄で使わせていただいたものをあげます。

 

 

     錆びた水      

                            大倉 昭美 

 

     丈(たけ)二、三〇メートルの藻は海底を林になって繁茂している
     藻は海流の動きに右に左にうねり揺れて
     重たく苦しげだ
     藻の根元をぬって 流れのままに転がっている
     されこうべ


     泥流を巻き上げて 崩れていく錆びた艦(ふね)から
     転がりさ迷い出たされこうべ
     気の遠くなる時を耐えて
     暗い瞳と 嗚咽(おえつ)を呑み込みつづけている口は
     魚も覗かぬ洞窟
     海底を流されて藻の林の中へ

 

     朽ち錆びていく艦が泥になる時を
     されこうべは待っていた
     泥に埋もれて艦と共に土に還っていく自分を

 

     藻の林を転がりながら
     暗い瞳は錆びた水をたたえ
     兵士は 嗚咽を呑み込みつづけている

 

 

 

戦争で得られるものは何でしょう。

勝ったほうも、本当に勝ったのではないと思います。

政治的な勝ち負けに勝って、勝者になっても、幸せになるかどうか。

第2次世界大戦で兵士・民衆合わせて日本人は400万人もの方が犠牲になった。

 もしその遺伝子たちが子孫を残していたら、日本はもっと精神的にも豊かだったのでは?と思うことがあります。でもこれは、戦後の民衆に対しちょっと失礼なことかもしれませんので、まあ忘れてください。

 

私たちは、戦争が起こらないよう、やはり気を付けていかなければなりませんね。

お盆の最後の日、多くの犠牲者に対し、心から悼みます。また、被災で命を落とされた皆様へも・・・。

                                  合掌