無題

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月夜の晩に

白鳥の声がして

カラマツの木は

とうとう

葉を落としはじめた

 

 風と空気が

 その季(とき)を知らせ

 木々の葉は

 いっせいに離れ行くのだ

 

風は言う

 サリリ サルルだね

太陽は

 いや サワワ サワワだろう

 

カラマツの針は

 まったく細くて

 金色だから

 あっという間に

 地面は

 黄金色のじゅうたんになる

 

地上からは

濡れた甘い匂いが

 たちのぼり

空からは

雪が

ちらついてきた

 

  (ああ、まもなくみんな、白く覆われるんだろう)

 

わたしはしばらく

  まだ秋のままで

 

サリリ サルルと降る金の針と

あの甘い匂いを 抱え

ようやく

ゆっくりと 冬を迎えるのだ

 

月夜の晩に 白鳥の声がして──

 ゆっくりと 冬が やってくる