思遠の毎日

日々のこと、感じたことなど、備忘録

さもなくも愛おしい日々。

3月号の原稿からちょこっと。

*3月号の冊子の最後に載せる、いつもさらっと書いている自分のコーナーです。ページ数によって、割愛することもしばしば。ブログ用に少し解説も加え・・今回は、こんな風。

 

    喫茶去

                          思遠

 早くも弥生を迎え、陽射しもいよいよ春めいてまいりました。いつもですと五月に一斉に咲く花達。まずは冬の終わりから初春に咲く梅にまつわる、有名な漢詩をひとつ挙げます。

 

  梅花           王安石

 牆角数枝梅   牆角 数枝の梅(しょうかく、すうしのうめ)

 凌寒独自開   寒を凌ぎて 独自に開く(かんをしのぎて どくじにひらく)

 遙知不是雪   遙かに知る 是れ雪ならざるを(はるかにしる これゆきならざるを)

 為有暗香来   暗香の有りて 来たるが為なり(あんかのありて きたるがためなり)

              (上平声「十灰」の押韻

[口語訳]

 土塀の隅に目をやると あの枝この枝に梅の花

 寒さをものともせず、どの花よりも早く独りだけで開いている。

 遠くからでも あの白いのが雪じゃないのは分かるのだよ。

 どこからともなく良い香りがほんのりと漂って来ているから。

 

 

 この詩は、二月立春の頃のものといわれています。しかしその頃この辺では梅はまだまだ・・。

 日本の平安中期~鎌倉時代のあたり、中国は北宋時代。この『梅香』を詠んだ王安石北宋王朝第六代の宰相となり、経済などの危機に際し、貧しい人にもいいようにいろんな法律を作りました。でも利権を操る金持ちや商人たちに猛反対されうまくいかず、やがて北宋は滅びます。何時の世も歴史は変遷しますが、唐宋八大家の一人王安石漢詩も後世に残りました。

北宋時代の地図。

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 北宋は日本より緯度が低いところに位置していますので、梅も早く咲いたことでしょう。日本人とは感性や文化は違うものの、この詩はとても素直でいいなあと感じます。

 その他、梅といえば小鳥も楽しみのひとつ。今は尾長やシジュウカラ、黒ゲラなどが庭に飛んできて、お喋りしたり木をつついたり・・私の部屋の窓からも黒ゲラがつつきながら木を上っていく様子が見え、とても愉快です。庭に林檎や柿、パンくずなどを置いておくと、いつの間にかなくなっているので、餌の少ない春は皆で代わる代わる置くように努めていますよ。

 

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 この北国も年々気候が変わり、少しずつ珍しい植物が増えているようです。いいのか悪いのか、そうすると生態系も変わって生き物にも変化が訪れるでしょう。少しずつの変化に私達もきっと適応せざるを得ないのだと思います。

 穏やかに自然を愛でながら暮らす喜びは何にも代えがたいものです。普段の瑣末な事柄や小さな事件はありますが、小川が必ず大河となり大海に注いでいくように、仏様の御手の中で、いつかほどけていくものだと信じております。

 いつも思うのは、「これまでの生き方の結果が今の自分である」ということ。どの道を選ぶか、どこを目指すかで、まだ見えぬ道も最後は大分違うのだな、と感じます。そしていずれ人は死にますが、生きている間は修行、しかし難しいことはさておき、煩悩具足のこの身、心がけだけでもきちんとしていたいものです。

 では皆さま、待ちに待ったかわいい春を、どうぞお愉しみ下さいませ。

 

 

*画像も、ブログ用にアップしたものです。