さもなくも愛おしい日々。

今日も曇り。

ちょっと肌寒い朝。曇りの日は以前は頭が痛くなったものですが、今は眠いだけ。
もう少ししたら、活動します。

最近「美味しんぼ」の内容について取り沙汰されていましたね・・つまり鼻血問題。
私は福島の人ではなく、最初はそう深刻に受け止めませんでしたが、ただ時間が経ってみて今はこう思います。自分は漫画世代。テレビ世代、とも思います。高度成長期とともに育った、昭和30年代の一人。漫画はとにかく楽しい、というイメージが強く、可愛い漫画から大御所の手塚さんの「火の鳥」とか、「ブラックジャック」などが出てきて、特に「火の鳥」「ブッダ」は本の代わりにここに来る子供たちにも読ませています。子供の頃は、リボン・マーガレットなんかの読者でした。まあ、よく読んだものです。自分も漫画描くの、ちょっとはうまいです。

他にも勇気をいただけるもの、とにかく絵が好き、ワクワクするもの、そして現代はジャンルがもっと様々、楽しいもの、考えさせられるもの、大人向け、戦闘もの、エログロ・・・まあ、よく考えつくなあというくらい、いっぱいありますね。
美味しんぼ」さんは、主人公と魯山人を思わせる父、その周辺の人達によるエピソードをとにかく食を中心にして描かれています。そしていろんなドラマがあり、巻が進むにつれて、食物ができる土や環境問題なども出てくる。震災の後の土壌問題、空気汚染というのは食を真面目に考えたい人にとってはやはり大問題です。きっと作者さんは、他の多くの方同様、とても憂えておられるのでしょう。

私は、25年かけて農薬をかけずに作物を作れるようになった福島の農家の方が、震災後・・つまり原発事故後その場所も被爆してしまったのですが・・・自殺なさったことを知ったとき、心が引き裂かれそうな思いを抱きました。どんなにその土地を愛し、作物を心を込めて作っておられたか。死にたい気持ちが痛いほど通じました。もしかすると、そういったことや様々なことが、自分が知らないだけで、あちこちで起きているのでは、とその時想像しました。もちろんこれは福島に限った事ではないのですが、こういったことは断定できないので、そう思うとだけ記します。

それともう一つ、例えば音楽を作るのに社会問題を取り上げるな、という思想の方がおられます。私が習った作曲家で合唱の大御所の先生は「原爆の音楽など作るものではない」と仰っていたのに驚いたものでした。逆に、うちの和尚様は「そういった音楽こそ、作るべきだ」という意見です。

漫画はどうでしょうか。社会問題は色々取り上げられていますし、批判もあってしかるべきです。ただ、私が感じるに、漫画の持つ特殊性、つまり人々を慰める、笑ってもらう、また考えてもらう、といった効果が比較的容易くできるという力をもつのが漫画な訳ですが、そこに、全くの本物の言葉や状況を描いてしまうと、娯楽的な要素や想像性がなくなり、例えばごーまにずむさんのようなもの・・・なんというジャンルか判りかねますが・・になるのでは、と思うのです。

もしそれを描くとしても、そのものズバリを出さずに、人に共感してもらうことはできるのではないでしょうか。鼻血がもし本当のことなら、本当のことで、もっと別な描き方があると。
それがうまいのが手塚さんでしたし、他にももっといらっしゃると思います。(私は現在の漫画については、全くといっていいほど読まないので、具体的にちょっとわかりかねます。ランチとかに行った際、「美味しんぼ」が置いていることが多いので、時に見るくらいです)

「今後の描き方を考えるために、一時休む」と今日のニュースで知りました。それはきっといい方向へ行くんだと思います。漫画の持つ力は、いい場合もあれば悪い場合もあります。力がある漫画、読まれている漫画であればあるほど、その責任は大きくなる。なので、作者は福島を心配していると感じていても、読む人によってはとても辛い、意地悪なものと感じ、ああ嫌だ、受け留めてしまうでしょう。私が福島県人なら、やはり真実のことでも悲しい。しかし新聞が書かないことを覚悟して描いているという自負があるなら、批判を受け止めつつ、これからもこの問題を上手に取り上げていくべき。
福島のこと、空気汚染、土壌汚染の問題を考えながら描く、というのは、事実そのものをただ載せるのではダメだということです。


・・・なんだか、偉そうになってしまいましたね。うまく表現できないのは私の能力がないからですが、でも大体上記のように感じています。漫画はあくまで漫画。人を悲しませてはいけないというのが、私の意見です。
福島ばかりでなく日本全体に広がっている訳ですから、この問題は本当は国家として性急に解決すべきであって、他人事ではありません。やはり原発を徐々に無くしていかなくては、子供も安心して産めない国になってしまうようで、怖いです。

うちにご縁のあるカメラマンの方は、汚染がひどい地帯に取材に行くと、やはり具合が悪くなるそうです。その方は実際に体を張って、それをずっと続けておられます。(しかし、鼻血というのは聞いたことはありませんでした。)
因果関係はどうあれ、やはり漫画の楽しさ、漫画の持つ意味や力は、変わって欲しくないと思った次第です。

分別の心からはなれ、今をただ自在に生かされますよう・・ 。